私の扉

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仕事も家庭も自分の歩幅で焦らず、ゆっくりでも、確実に一歩一歩あゆみたい…。
人生のいくつかのターニングポイントも自分らしく扉を開けていく。
そんな素敵なウーマンスタイルの会員さんをご紹介します。

File 015カフェ・コンディトライ ワイー 宮保容子さん

《プロフィール》
1963年広島県生まれ。大学を卒業後、子ども服メーカーで2年勤務。結婚後は金沢に移住、3児をもうける。現在は、夫、娘と3人暮らし。夫が営む「カフェ・コンディトライ ワイー」で接客とスイーツ・パンを担当。
■Facebookページ 「カフェ・コンディトライ ワイー
■HP「コーヒーハウス ワイー

宮保容子さん
ある1日の過ごし方私のお気に入り

インタビュー

コーヒーとスイーツで地域の暮らしを豊かに

心地よいBGMが流れる木づくりの「ワイー」店内。マスターとの会話やひとり時間を楽しみながら、ゆっくりとくつろいでいかれるお客様が多いです。

香ばしいコーヒー香が漂う店内で、にこやかに迎えてくれた宮保さん。自家焙煎コーヒーを手がけるご主人の淳司さんと「カフェ・コンディトライ ワイー」を切り盛りし、14年めを迎えました。店名に付いた「カフェ・コンディトライ」とは、ヨーロッパで古くからあるカフェとケーキ屋が融合したスタイル。「地域の伝統・文化・情報をお客様と共有し、人と人をつなげ、暮らしを豊かにする場でありたい」と、オープン時に目標とした店の理想形です。

もともとは食事も提供する大型喫茶でしたが、ご主人の代になり、コーヒー専門店として再出発。ハンドピックで豆を厳選し、丁寧に自家焙煎するコーヒーは通の間で評判となり、店頭はもとより、通販で全国発送も行っています。宮保さんは、スイーツ全般とパンを担当。チーズケーキ、ガトーショコラなどの定番ケーキやパンを毎日手作りしています。材料にこだわり、無添加の味わいはコーヒーにもぴったり。ふわふわモチモチの食パンには長年のファンがしっかりとついています。


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ベビー服メーカーで服づくり 結婚後はお菓子づくり

「ものづくりが好き」という宮保さんの原点は大学の頃にあります。バイト先のベビー服メーカーで服作りの面白さに目覚め、洋裁学校で製図を習得。そのまま2年間バイトを続け、入社してしまったのだそう。「企画・デザイン・パタンナーに携わり、やりがいがありました。当時交際していた夫との結婚も考えられないほど、仕事に没頭していましたね」。

そんな日々も宮保さんの決断で終焉を迎え、結婚、そして石川県へ…とめまぐるしく状況は変わっていきました。「長女の出産まで前のお店を少し手伝いましたが、あまりの不器用さに『自分には接客は向いてない』と悟りました」と笑う宮保さん。出産後はママ友たちとお菓子や服づくりをたっぷりと楽しんでいたそうです。「その頃、子どもに安全安心なお菓子を食べさせたくて、母が使っていたレシピ本を参考に作り始めたんです。当時のレシピは添加物も使わず、お菓子づくりの基本のようなレシピ。今も私のスイーツ作りのベースになっています」

結婚した時、実家から持ってきた絵本「ぐりとぐら」。子どもにお菓子を作ろうと思い立った時、真っ先に浮かんだのがこのベージです。


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夫のピンチを機にカフェに立つ スイーツ・パンづくりで真価を発揮

自家製定番ケーキ3種。左からチーズケーキ、ガトーショコラ、シフォンケーキ。添加物や化学薬品、ベーキングパウダーなどは一切使いません。自然の恵みに必要以上に手を加えることなくご提供したいというのが私の願いです。

ところが、4年間のおだやかな子育て期は双子の男子出産で激変します。「24時間の母乳育児で、一時期ノイローゼ状態になったことも。2人の小学校入学まで何をしていたのかほとんど記憶がないぐらい、忙しかったですね」と宮保さんは当時を振り返ります。

次の転機はまた突然に訪れました。義父母がリタイアし、現在のお店をオープンまもなく、ご主人がケガをしてしまったのです。「どうしても私がお店に立たざるを得なくなってしまって。下の子たちは小学校に入学していたので、これは引き受けざるをえないと覚悟を決めました。でも、いざ店頭に出ても、『いらっしゃいませ』すら満足に言えなくて…接客の難しさ、夫の大変さを心底から理解しましたね」。

本格的に店をサポートする覚悟を決めた宮保さんは、専用のジーンズ2本を用意し、それを履きつぶすまでの2年間、無我夢中で働きました。「まず、手さぐり状態で出したチーズケーキが思いのほか好評で。ガトーショコラ、シフォンと少しずつ数を増やしていきました。そのうちパンも出したいと、パン教室に通って技術を習得。ご飯を練り込んだもちもちの自家製パンレシピを開発した頃には、すっかり仕事が面白くなっていました」


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娘の気持ちに寄り添い、仕事と家庭のバランスを見直す

さらにおいしい商品づくりを目指して、業務用オーブンを購入。ますますがんばろうと意気込んでいた矢先、思いがけない出来事が起こります。しっかり者で全く心配ないと思っていた中学生の長女が、部活動のトラブルに巻き込まれていたのです。

「保護者会に出席して、ようやく事の重大さに気きました。なぜもっと早く気づいてやれなかったのか…これまで無関心だったことを悔やみ、娘に謝りました。そして全力で娘をサポートすべく夫と"チーム宮保"を結成したんです。思えば、営業日は店、休日は双子の息子のサッカー当番で、娘のほうを見ていなかった。娘は後に『あの頃の家に自分の居場所はなかった』と告白してくれました」

それからの宮保さんは、子どもたちが学校から帰る前に家に帰り、食事の準備をしておくなど、家庭と仕事の線引きをきっちりとするように。子どもたちには「9の待ち、1の攻め」の姿勢で聞き役に徹し、自ら動き出すのをひたすら待ったそうです。

文字通り「雨降って地固まる」。この出来事をきっかけに、家族それぞれが自分の思いを率直に語れるようになり、コミュニケーションはより深まっていったのです。


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起業セミナーに衝撃を受け理念と方向性を明確化

数年がたち、宮保さんを取り巻く状況はさらに変化しました。県外の大学に通っていた娘が地元に戻り、息子たちは県外へ。新たな生活がスタートし、「いよいよ時期が来た。仕事を本格的にやろう!」と思い立ちます。そんな時、会員登録していたウーマンスタイルの「口コミ繁盛店の道」セミナーの開催を知り、参加してみたのです。

「すごい衝撃でした。自分より若い世代の女性たちが明確なビジョンをもって仕事に取り組んでいる。私は夫の店に乗っかってやってきただけではないか…と」。行動の大切さを学んだ宮保さんはすぐに動き始めます。まずは、ご主人が開店時に掲げた「カフェ・コンディトライ」の理念をまとめ、メニューや店頭のガラス窓に表しました。そして漠然としていた自分の方向性を「身体に優しい安全な素材をベースに、伝統的な本物のスイーツにこだわる」と定め、打ち出していくことにしたのです。

ウーマンスタイルを通して、がんばる女性たちを応援したいという気持ちも芽生えたという宮保さん。「お店を教室や女子会の場として提供したい。女性は"おしゃべり"の中に暮らしや仕事のヒントを見つけられますから」と語ります。子育て、仕事と数々の山を乗り越えてきた宮保さん。当初は望んでいなかった道であっても、真正面から向き合い進んでいく時、人は思いがけない力を発揮できるのだと、「ワイー」に立つ生き生きとした姿が教えてくれます。

「カフェ・コンディトライ」の理念をお客さまに英訳していただき、お店のガラスに描きました。いつも基本を忘れず、お客さまに接していきたいとの思いを込めています。


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ある1日の過ごし方

07:00
パン・ケーキ作り
10:00
出社~接客
18:00
帰宅~家事
21:00
フリータイム
24:00
就寝

わたしのお気に入り

コーヒーカップ

33年ぶりの再会を果たした友人からのプレゼント。毎朝、彼女を想い出して「今日もがんばろう」と思う朝のコーヒー。

お菓子のレシピ本

母にもらった「家庭でできる和洋菓子」と、自家焙煎コーヒーの名店「カフェバッハ」の奥様が書かれた「紅茶にあう菓子 コーヒーにあう菓子」。どちらも私のスイーツづくりのバイブルです。

小野リサのCD

好きです。懐かしい気持ちになります…瀬戸内の青い空と海風が通り抜けていくように。


(文・写真 塩田陽子)